鳴り響くLINE、殴り書きのノート、そして背中を伝う冷たい汗
バンコクの喧騒の中、私はしゃぶしゃぶ屋を営んでいます。
プログラミングの知識など、爪の先ほどもありません。「HTMLとは何か」と問われれば、「ホームページを作るための何かではないか」と曖昧に答えるのが関の山です。そんな私が、今や自分専用の予約管理システムを構築し、日々の営業を回しています。
なぜ、そんなことができたのか。
きっかけは、ある最悪の夜でした。
週末の満席時、店内に鳴り響くLINEの通知音と、乱雑に殴り書きされた予約ノート。
「あれ、このテーブル、空いていたはずでは」
そう思った瞬間には、すべてが遅すぎました。目の前には、予約したはずだと主張するお客様。手元のノートとLINEの履歴を見比べても、文字が潰れていて判別できない。冷たい汗が背中を伝い、胃の奥が雑巾のように絞られるあの感覚。
「申し訳ございません。今、お席をご用意いたします」
そう頭を下げながら、血の気が引いていく恐怖。飲食店を営む者なら、誰もが一度は味わったことのある地獄でしょう。
もう、紙とLINEでの管理は限界でした。
現場を無視した「傲慢なシステム」への怒り
もちろん、既存の予約管理サービスも検討しました。実際に有名な「Toreta」を導入していた時期もあります。
しかし、月額5,000円から30,000円という料金は、個人店にとって決して軽い負担ではありません。年間で6万から36万円。その出費に見合う価値があるならまだしも、最大の障壁は「スマホ対応の不備」でした。
これら多くの既製サービスは、レジ横のタブレットやパソコンで使うことしか想定されていません。
私は複数店舗の状況を管理する立場にあります。移動中、仕入れ中、あるいは自宅で、手元のスマートフォンからサッと予約状況を確認し、必要があればその場で変更したい。しかし、画面は崩れ、操作は困難を極めました。
「なぜ、今どきスマートフォンに最適化されていないのか」
現場のリアルな動きを無視した仕様に、憤りすら覚えました。自分たちの業務フローを、高額なシステムの都合に合わせなければならない。海外の店舗であれば、言語の壁や現地の商習慣との乖離も生じます。カスタマイズを望んでも、「その機能は上位プランでのみ提供されます」と冷たくあしらわれるだけでした。
なぜ、私たちはこれほど不自由な選択を強いられなければならないのでしょうか。
「答えをくれるAI」から「物を作ってくれるAI」へ
この1年間、私はありとあらゆるAIツールを触り倒してきました。ChatGPT、Gemini、Claude、Grok、Notion AI、Genspark。日常の翻訳やマニュアル作成、仕入れの計算には役立ちました。
しかし、それらはすべて「質問に答えてくれるAI」に過ぎませんでした。
私が求めていたのは、私の代わりに「物を作ってくれるAI」だったのです。
そのとき出会ったのが、Google DeepMindが開発したAIコーディングアシスタント「Antigravity」でした。
これは、従来のAIとは根本的に異なっていました。質問に答えるのではなく、私の言葉の通りに「システムそのもの」を構築し始めるのです。
私がやったことは、ただ日本語で語りかけたことだけです。
「飲食店の予約を管理するシステムを作って。時間とテーブルが一覧で見れるようにして。予約の登録、変更、削除もできるようにして。あと、スマホでも使えるようにして」
専門用語は一つも使っていません。「Toretaみたいなやつ」という、極めて直感的な言葉を投げかけただけです。
するとAIは「わかりました」と応じ、画面の向こうで自律的にコードを紡ぎ始めました。
わずか2日で完成した、ガラス細工のように美しい「完璧な道具」
信じられないかもしれませんが、1日目が終わる頃には、ログイン画面からテーブルの一覧表、顧客管理、カレンダー表示、ダークモードの切り替えに至るまで、すべての基本機能が揃っていました。
デザインはガラスのように透き通ったモダンな質感で、ボタンを押すと吸い付くように滑らかに動作します。月額数万円のサービスと何ら遜色のない、いや、それ以上に美しいシステムが目の前にありました。
2日目は、店で実際に使いながら見つけた課題を、日本語で愚痴るようにAIへ伝えていきました。
「予約をタップしたら詳細がパッと出るようにして」
「誰がいつ予約を変更したか、履歴を残して」
「同じ時間に同じテーブルが重複したら警告を出して」
すべての要望は、伝えてからわずか10分ほどで現実のものとなりました。
途中で画面が真っ白になるバグが発生したときも、焦る必要はありませんでした。その画面のスクリーンショットを貼り付け、「壊れた」と一言伝えるだけで、AIが原因を特定し、自ら修正を完了させたのです。
私には何が起きたのか分かりませんが、動くようになった。それで十分でした。
月額数万円の呪縛からの解放、そして自分の城を築く喜び
かかったコストについても、包み隠さずお話しします。
私はAntigravityのProプラン(月額約1,200円)から始めました。これで十分動作していましたが、さらにこだわりを反映させるために上限へ達し、最終的にはMaxプラン(月額約39,800円)にアップグレードしました。
しかし、サーバーはCloudflareの無料枠を利用しているため、完成した予約管理システムの維持費自体は「0円」です。
最初から spiked(的確な)指示を出せていれば、Proプランの月額1,200円だけでこのシステムを完成させることも可能でした。
市販のサービスに毎年何十万円も支払い続け、機能制限に頭を悩ませる日々と、月額1,200円から始められて自分の店に100%フィットしたシステムが手に入る日々。どちらを選ぶべきかは明白です。
一番の価値は、業務フローの変更に合わせて、AIに「ここを変えて」と伝えれば10分でシステムが書き換わる柔軟性にあります。私たちはもう、高価なシステムの奴隷になる必要はないのです。
必要なのは、あなたの「不満」を言葉にする力だけ
「プログラミングができないから、自分専用のシステムなんて作れない」
それは、過去の常識です。
いま必要なのは、技術的な知識ではありません。「こういうものが欲しい」「ここが使いにくい」という、現場の痛みに裏打ちされた言葉だけです。
これは飲食店だけの話ではありません。美容室、クリニック、不動産、あらゆる個人ビジネスにおいて、自分だけの道具を自分で創る時代が来ています。
月額料金に不満を抱きながら、使いにくい既製品に耐える必要はありません。
あなたの言葉で、あなただけの完璧な道具を創り上げてください。
Antigravityを一度、触ってみてください。
あの胃をえぐるようなダブルブッキングの夜から、私を救い出してくれたこのツールが、あなたのビジネスをも変えるはずです。